2024(令和6)年6月15日にオンラインで開催された、京都動物愛護センター様主催の「ペットのための終活セミナー」講師を4年連続で担当させていただきました。
当日は下記の内容で講演を行いました。
・京都動物愛護センターの取り組み(センター職員様)
・ペットのためにお金を残す方法は?(弊社代表石部)
・ペット後見の取り組みについて(認定NPO法人人と動物の共生センター奥田代表)
・終生飼育に向けて、今、私たちができることは?(ペット預かり施設shippo-family高岡様)
今回は石部による講演「ペットのためにお金を残す方法」について説明させていただきます。
もしもの時への備えが必要な理由
京都動物愛護センター様の講演でも触れられたように、犬猫ともにセンターに引き取られる理由の1位が「飼い主の病気」による飼育不能です。しかし全国で殺処分ゼロを目指す取り組みが進む中、ご自身の怪我や病気など飼育を続けにくくなったという理由で安易にペットを捨てられない状況になっています。
ご家族・ご親族にペットを引き取ってもらったり、施設に預けたり、新しい飼い主を見つけたりという選択肢もありますが、いずれも飼い主さんがご存命かつ判断能力に問題がない時期からの話し合いが必須で、条件次第では法的に有効な契約もしなければいけません。
わんむすび立ち上げ以来、こうした「ペットのトラブル予防」に力を入れてきましたが、やはり法的に有効な契約とお金の問題解決が必須と思い、いくつかの解決方法をお話しさせていただきました。
主な選択肢とそのメリット・デメリットは以下の内容です。(以下画像クリックで拡大表示できます)
遺言
ペットのためにお金を残すとしたら、一番わかりやすい方法が「遺言」です。日本の法律ではペットに直接遺産を残せませんが、ペットのお世話を任せたい人に遺産の一部を譲ったり、老犬・老猫ホームなど専門の施設に具体的な条件を指定して預けたり、後述する遺贈の形で飼い主さんがご存命ながらも飼育を続けにくくなった時の備えをしたい時には遺言によるトラブル予防が有力な選択肢です。
遺贈
遺贈とは遺言によって財産の一部を誰に、どう託すかを具体的に指定することです。「いくらの財産を引き継いでもらう代わりに、自分がこんな状態になったらペットのお世話を頼みたい」と条件をつける方法(負担付遺贈)も使えます。
通常の相続なら子や孫など血縁関係者だけですが、遺贈なら相続の権利を持つ人以外の人物や団体に遺産の一部を譲ることができます。例えば飼い主さんが亡くなられた後に愛犬が残された場合、その愛犬を生涯お世話してもらうためにどこの老犬ホームに、どの程度の遺産を渡して預けるかといった内容を遺言で残されることも可能です。ただし飼い主さんが亡くなられてからでないとお金が動かないことが注意点です。
贈与
贈与は当事者の一方が自分の財産を相手に与える意思表示をして、相手がそれを承諾した時に成立します。生前贈与であれば、誰にどんな条件で、どの程度の金額をペットのために遺すかを決めて、飼い主さんがご健在のうちにペットの飼育を託すという契約も可能ですので「私が病気や施設入所など愛猫の飼育を続けられなくなったら、長女一家に引き取ってもらう。その代わり財産からいくらを与える。」という契約書を作成して、ペットの将来を守るような選択肢もあります。
保険
保険会社さんによっては、生命保険などで積み立てた保険金の一部を事前に指定したペットの預り施設に支払うことで、飼い主さんの死亡後に遺されたペットを生涯お世話してもらうことも可能です。
また少額短期保険を用いて、飼い主さんご本人が入院したり、障がいを負ったりした場合に、ペットを身内や施設等に預ける費用を工面する方法も考えられます。具体的な保障内容・期間・条件などは保険ごとに異なりますので、もし興味があれば複数の保険会社からの比較・検討をお勧めします。
※家族信託のお問い合わせをいただくこともありますが、制度が複雑だったりまとまった費用が必要だったりして良い方法が見つからず、詳しい説明は割愛させていただきました。
わんむすびではこうしたペットのための相続・遺言の無料相談を随時受付中です。事前にご予約いただけますと土日祝日のご相談や、ズームなどを用いたオンライン相談も対応させていただきます。
少しでも気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりお声がけください!