動物の学校飼育における課題

皆様こんにちは!インターンの下野です。今回は動物の学校飼育における課題について説明させて頂きます。

動物に関する授業で期待されること

日本では小学校などで動物を飼育し、命の大切さを学ぶ活動が行われてきました。学習指導要領によると、学校での動物飼育は「生き物を通して学びを得ること」を目標としています。生活科や理科の授業の一環として明治時代から動植物の世話をすることなどが行われきました。ウサギやニワトリ、メダカなどの魚を飼っている割合が大きいですが、飼育する動物は非常に多岐に渡るため、生徒の安全を保障し、適切に動物を飼育することを義務付けるさまざまな法律が適用されています。

動物に関する授業では

1 動物の変化に関心を持ち、自ら働きかける
2 世話の楽しさや責任感、生命の尊さを知る
3 生き物への親しみを持ち、大切にしようとすることで、「生きる力」を身につける

の三つを生徒達に期待しています。

私は小学四年生の時にクラスでアヒルを飼育していましたが、卵を孵化させるために熱心に世話をしたり、コンクリートの床で足を痛めたアヒルのために対策をみんなで話し合ったり、より良い栄養バランスの餌を探したりと、時に仲間と協力し合い、時に自分一人の力でやり抜くことで、その後の人格形成に深く関わった多くの経験ができたと感じています。また集合住宅などに住む子供は動物と日常的に接し、生死を身近に感じる経験はほとんどありません。学校飼育はそのような命の尊さを学ぶ機会も担っています。

しかし現在動物飼育を行う小学校は減少傾向にあります。生徒の自主性を重んじ自由度が高いからこそ、多くの問題が浮かび上がり継続が難しくなっているのです。

動物飼育における課題

長期休暇や土日の世話

私の学校では、当番は一応決められていましたが、バスや電車で通う生徒が多い学校であったため、結局通いやすい人が世話をする場合が多かったです。特に現在はコロナで登校すらできないため、教員が世話せざるおえない状況だそうです。学校ごとの状況によって当番のために休日に登校させるのが難しい場合はいくらでもあるため、この課題は早急に解決させなければなりません。例えば学校のOBや地域住民を巻き込み、負担を分散するなどの解決策が挙げられます。

教員への負担

学校飼育では飼っている動物の詳細や怪我や病気への対処、衛生上のルールなど多くの知識を必要としますが、それを第一に学ばなければならないのは子供達に適切な飼育指導を行う教員です。ただでさえ忙しいとされている教員にそのような知識を学ぶ機会を作り、適切に動物の管理をしてもらうのは難しいというのが現状です。

衛生管理

私がアヒル飼育をしていた年にちょうど鳥インフルエンザが流行し始めたのですが、今考えると対策は全くされていませんでした。本来感染症を持ち込まないために野鳥と飼育動物の接触は厳禁ですが、アヒル小屋にはスズメがよく餌を食べにきていました。知識もなく、小屋を改修する資金もなかったため基本的にはなすがままでした。調べてみると、飼育動物が病気になった際、十分な資金がないため適切な治療を行えないケースが多いようです。獣医師などの専門家と連携しながら問題解決にあたる体制を整えることが求められています。

賛否両論ある学校飼育ですが、私は非常に有意義な経験だったと考えているため、これからも続いていってほしい制度です。しかし特定の生徒や教員にばかり皺寄せがいったり、動物を愛する活動であるはずなのに教育のために消費したりすることは間違いなくあってはなりません。地域社会や獣医師との協力体制を構築し、より広い範囲で学校飼育を支えていくべきだと考えています。