皆様こんにちは!代表の石部です。
本日公益財団法人京都地域創造基金さん主催、京都動物愛護センターさんで開催された「福祉分野における猫に関する勉強会」について記事にまとめました。
京都動物愛護センターさんの詳細は以前当ブログの記事で紹介いたしましたので、よろしければそちらもご参照ください。
しばしば勘違いされますが、「わんむすび」を名乗っているからと言って愛犬家だけを対象にしているわけではありません。団体名は「飼い主さんとペットのご縁を一つ(one)に結ぶ」という理念が由来ですので、猫や小動物など、犬以外の飼い主さんへの支援活動も対象にしています。
勉強会の前半ではセンター職員の方による猫の保護に関する制度や現状のご紹介、後半では人と猫両方を支援する民間の取り組みを発表していました。非常に中身の濃い勉強会でしたので、複数回に分けて紹介いたします。
福祉分野と猫の関係
わんむすびでもしばしは福祉関係の方々への聞き取り調査や意見交換を行っていますが、ケアマネさんや社会福祉士さん、ソーシャルワーカーさんなど、福祉職の方々への犬猫に関する相談は非常に多いです。特に猫の場合、高齢者の飼育を止められないこと、避妊去勢を拒まれたり、庭などに住み着いたらいつの間にか繁殖したり、気づいた時には非常に多くの時間や労力を注ぎ込むこともあり、現場の切実な困りごとを何度も目の当たりにしてきました。
実際に生活保護を受けられている方が猫の飼育に悩まれたり、孤立したり、気づかれないうちにどんどん繁殖して手に負えなくなったり、社会問題になっている多頭飼育崩壊になってしまったりと、動物愛護には人間の福祉が深く関わっています。
しかし、人間の福祉の専門家であっても、猫に関する専門知識や関係者へのネットワークをお持ちの方は少なく、逆に保護猫団体やボランティア関係者など、猫の専門知識や保護の経験・ネットワークをお持ちの方でも、人間の福祉に詳しい方は少ないとのことです。
今回の勉強会は1回きりではなく、3月以降も継続的に開催予定とのことで、これを機に両者が手を取り合いながら、持続的な飼い主支援活動に発展することが期待されます。
行政による猫の引き取り
京都府では、全国でも珍しく都道府県と市町村が一体となって動物愛護センターを運営しています。それによって、情報管理がしやすく、混乱しにくいことや、譲渡の範囲が広がって京都市外の方にもお渡しできる、市外からの譲渡もでき、譲渡後のケアがしやすいなどのメリットがもたらされました。
所有者不明の猫については、徘徊している野良猫の相談が一番多いとのことです。これは外飼いされている猫の可能性があります。所有者不明の成猫は、所有者不明の犬に準じた対応となります。負傷した猫は行政機関で無料引取が可能ですが、簡単な治療しかできません。
職員の方の言葉を借りると、飼い主からの問い合わせは「電話が鳴れば飼育放棄相談の状態」だそうです。保護や引き取りは狂犬病予防法、動物の飼養管理と愛護に関する条例、動物の愛護及び管理に関する法律に則って行われています。
猫の飼い主サイドの問題
平成30年度の京都動物愛護センターさんの実績によりますと、猫の引き取り依頼(放棄)理由の1位が「飼い主の体調不良・死去」39件で、2位が「計画外の繁殖」17件で、飼い主さんの飼育継続が不可能もしくは困難になったときの相談の多さが現れています。
行政サイドでは殺処分の可能性は丁寧に説明しつつも、理由によっては引き取りを拒否しています。相談対応は以下の流れです。
1、放棄理由を確認→ここで安易な理由であれば拒否されます。
2、飼育継続が困難か説得
3、新しい飼い主を見つける努力をするよう説得
4、一定期間努力して、新しい飼い主を見つけられなかったら連絡するよう伝達
5、引き取らざるを得ないと判断された場合に、有料で引き取り
保護センターはあくまでも最終手段であり、動物にとっては見ず知らずの環境で不安に駆られたり怯えたりする、怖い場所になりかねないです。やはり終生飼養で、亡くなるまで命に責任を持つことが大事です。
第2回では京都動物愛護センターさんの取り組みを紹介していますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。