一念寺 保護猫譲渡会取材 後編

皆さんこんにちは。
インターン生の藤野です。

今回の記事では、一つ前の記事で紹介した、保護猫譲渡会の主催者様で動物愛護団体Pawer.の代表・大西ゆいさんへのインタビュー内容をお伝えしたいと思います^^

動物愛護団体Pawer.のご紹介

動物愛護団体Power.の代表
大西 ゆいさん

大西さんは、「一つでも多くの命を守り、人と動物との幸せな関係を築く」という願い、目的を元に殺処分の危機にさらされている犬や猫たちの命を守るために、犬・猫それぞれの様々なジャンルの情報を発信し、ともに学んでゆく活動をしています。

Pawerとは、動物の足(Paw)と、力(Power)をかけた造語です。
言葉を話せない動物たちがずっと幸せに暮らせるよう、生きる権利を守りたい。という思いから、“Pawer.”(パワー)が生まれました!

大西さんはもともと、アメリカで働いていましたが、アメリカと日本の動物保護・愛護活動の現状の違いに気づき、動物愛護の活動をする為に日本に帰国することを決意されました。
日本に帰って来た大西さんは、日本中の保健所・施設、世界の保険城・施設に取材・視察を行われました。
取材をしていく中で、「今の日本の動物保護・愛護活動の現状をより多くの人に知ってもらいたい」という思いが生まれ、pawerの活動を始められました!

今回の記事では、大西さんへ主に、以下に関する質問をさせていただきました!

○譲渡会の現状、
○日本・海外の動物愛護活動の現状、
○若者たちへのメッセージ
○活動のやりがい、新たな企画

インタビュー

Q:譲渡会では毎回どのくらいの猫や犬が飼い主さんを見つけることができていますか?

A:譲渡会での譲渡率は4分の1決まったら良い方と言えます。
例えば:30頭いた場合5~6頭が飼い主さんを見つけることができます。
その中でも特に、子猫の譲渡率は高いです。

Q:犬や猫の譲渡に当たっては、どんな条件がありますか?

A: 譲渡に当たっての条件は本当にたくさんあります!

主に、
・先住の相性
・経済面
・生活面

等です。

これらを、会話の中でオブラートに聞き、条件がクリアされているかどうかを判断します。
また、その条件も一頭一頭違うので、一概にこのような条件があるということが出せなくて、譲渡の判断には時間がかかります。

Q:犬や猫以外の動物の保護も行われているのですか?

A:しておりません。
私たちは、「動物たちが遺棄される状況を減らす」
「現状を多くの人に知ってもらう」
という目的で活動をしています。
そのため私たちの活動は譲渡会や保護がメインではありません。

しかし、どんな動物でも情報が入れば、レスキューやボランティアにいき、
飼い主さんと保護された動物たちを繋げます^^

Q:大西さんが国内外の動物愛護活動の取材で気づいたことは何ですか?

A:私は、もともとアメリカで仕事をしていましたが、日本で動物愛護の活動をするために仕事を完全にやめて日本に帰ってきました。
その時に様々な国の視察にも行かせていただいたので、簡単にその国の特徴などをご紹介します^^

〜海外〜

・マルタ島
日本と同じように猫が多いのに、日本とは違い去勢などの手術率がとても高いです。

・イギリス
日本の半世紀先の動物愛護をしています!
イギリスのシェルターはその設計(床、壁、屋根など)、何から何まで、動物に詳しい方が設計を行なっており、本当にいたるところが動物にとって良い環境であるように設計されています。
空気の流れさえも人が入った時に不快な匂いがしないように計算されていて、とても感動したのを覚えています。

・ポーランド
場所によって良いところ、悪いところがありました。
ひどいところでは餌に大量にハエがたかっていたりもしました。

このように、海外視察から国によって全く違う状況であることが分かりました。
イギリスでは教育方法の研修なども受講し、どのような道具を使えば子供達にもわかってもらえるかなどの伝え方、やり方の研修も受講させてもらいました。

〜日本〜

日本に帰ってきてからは、日本中の保健所や行政の施設を回って日本の現状を実際に自分の足で調べました。
そこから、日本の中だけでも、地域によって問題が違うということがわかりました。

例えば:田舎の山奥の保健所→中型の野犬が多く、狂犬病対策から殺処分されてしまう子が多い特徴あり。
都会の保健所→保護されている子全員が人間に捨てられしまった動物。

というように、土地柄で状況や問題が異なっているという事を知りました。

他にも、次のような日本の現状にも気づくことが出来ました。

○一見、殺処分数がゼロの地域でも蓋を開けて見たら、ボランティアの方が必死に頑張っていたり、一度殺処分がゼロになったプレッシャーから殺処分の隠蔽などもされてしまったりしている。

○日本のシェルターは国際水準にほとんど満たしていない。

○地域によって、昔ながらの飼い方がまだ定着していて、その原因として文化や平均年収、土地柄が関係している。

Q:日本でもスぺイクリニックの普及が必要と聞きましたが、その現状を教えてください。

◎スペイクリニックとは

主に保護猫などの避妊・去勢手術を専門的に扱っているクリニック。
通常の動物病院よりも価格が安いといった特徴があります。

A:スペイクリニックが増えることで避妊・去勢手術を行うことが気軽になるという利点があります。そうすることによって、多頭飼育崩壊の対処・事前防止や保護猫団体への負担が少しでも減ります。

しかし、もともとあった動物病院が価格の点で困ってしまう、邪険に思ってしまうという問題がありスペイクリニックの普及において動物病院とのバランスを取るのが難しいというのが現状です。

関西では徐々にスペイクリニックの普及がされてきていますがまだまだ不足しているという状況です。

Q:最近では動物愛護活動の少子化が進んでいるとよく耳にします。
その中で、大学生ボランティアに対する不安などはありますか?

A:期待しかありません!^^
やはり、動物愛護の活動では若い人がほとんどいないので、学生の時代から
活動してくれる子には期待しかないです。

Q:大学生や若者でも出来る取り組みは何かありますか?

A:大学生や若者ができる取り組みとして、まずは保護動物の実態を知ってもらうこと、そこから周りの人に話をしたり、SNSで発信したりするような行動が挙げられます。

現在、動物保護活動をしている中で、「情報や学びの場の不足」という課題が浮上しています。そのような場面から私たちは「いのちの教室」というイベントで教育の面から若い世代に現状を知っていただく機会を設けています。

学生さんにしか出来ない、学生さんという立場から、同じ若い世代に情報を発信すること。ボランティア活動や募金の他にも、「自分が現状を知る」「現状や課題の情報を発信する」と言った方向からでも、多くの動物を助けることに繋がります。

◎「いのちの教室」とは

動物愛護団体Pawer.さんが行なっている「いのちの教室」では、幼稚園生から大学生まで、それぞれの対象年齢や人数に合わせて犬猫の生態や感情表現、正しい飼い方、現状、一人ひとりにできることなどを伝えている教室です。

例えば、「ペットショップで買わないで」といった特定の行動を一方的に伝える授業ではありません。子犬や子猫が繁殖場からペットショップに行き着くまでの厳しい現状や、購入する以外の選択肢=”里親になること”などを知ってもらうことで、それぞれが動物の命を尊重し行動するきっかけを作るための教室です。

Q:これから新たに進めていく企画の予定などはなりますか?

A:現時点での新たな企画の予定はありません。
現在ある予定が詰まってしまっている状況です。

学校への命の授業を行いたいのですが、コロナの影響や、2018年から2020年まで教育の移行期間で、教育現場が混乱していて、学校側があまり道徳にさく時間がないということが現状です。

Q:この活動を継続しているやりがいはなんですか?

A:「いのちの教室」などのイベントを行うことで、参加してくれた子どもたちが
成長してくれていたらその時にとてもやりがいを感じます!

いつも、イベントを行うときは、「参加者が100人いても1人も記憶に残してくれる人がいない」という意識でイベントを行なっているので、幼稚園児の子に「犬のお姉ちゃんだ!」って言ってもらえる、その子の記憶に残っている、覚えてくれているということがとても嬉しいです。

また、情報を発信している中で、その情報を誰かが受け取ってくれているという事もとても励みになります。
感想などで「〜を聞いたから、〜するようになりました。」などコメントをいただくことがあります。そのコメントを見た時、「人の人生のきっかけになれること」があると実感します。その時にはとてもやりがいを感じます!

私の行なっている、「いのちの教室」のような、伝えるという活動は、私の中で「種を植える」ようなことです。成長の中で種を植え、その芽がでるかわからないけれども、種を植えることで出る芽もあります。その子供達への「教育としての種植え」にとてもやりがいを感じています^^

おわりに

今回のインタビューで大西さんから、色々な貴重な話をお聞きでき、私自身ものすごく勉強になりました。

今回のインタビューを通して、日本の現状や情報発信の意義を学ぶことができました。私もこれからは、まずは自分が行動して正しい情報を知る。そして、周りの人やSNSでの情報発信を積極的に行なおう!と強く思いました。

最後までご拝読ありがとうございました!
次回の記事もお楽しみに!