皆様こんにちは!
今回は相続に関してご利用いただける制度を一覧にまとめました。
家族信託のみならず、遺贈、贈与、成年後見、遺言とそれぞれの制度にはそれぞれのメリット、デメリットがございますので、具体的な内容を比較・検討しつつ、ご自身のご要望にあった制度設計をされると良いでしょう。
制度名 | 内容 | メリット | デメリット | |
家族信託 | 相続の委託者(資産を持つ人)が家族間で財産の管理や移転、処分を行う信託の仕組み。ただし信託銀行は関わっていない。
それぞれのご家族にあった財産管理や資産継承の方針を柔軟に決められる。 遺言や成年後見と違って、委託者が健在な時から効果を出せる。 二代、三代先のことなど、二次相続以降で財産を託す人が亡くなった後まで決められる。 遺言や成年後見など他の制度との併用も可。 金銭、有価証券、不動産、知的財産権だけでなく、ペットも信託できる財産となる。 |
被相続人(相続財産を遺す人)が元気なうちから将来の対策を打てて、資産の管理やペット飼育状況などを見届けられる。
判断能力に問題がなくても体に障害のある人のニーズにも対応できる。 財産管理の自由度が高くなる。 財産承継の順位付けができる。 |
受託者(財産を受け継ぐ人)を誰にするかで揉める可能性がある。
身上監護機能(ご本人の住居確保や医療関係の手続きなどの権限)がない。 税務申告などの事務手続きが多く発生する。 家族信託そのものに節税を期待できない。 |
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遺贈 |
遺言によって親族、第三者の個人、団体に財産を無条件で与える制度。被相続人の意思のみで成立する。 与える財産の割合を指定する包括遺贈、与える財産を指定する特定遺贈の2種類がある。 遺贈を受けた者には相続税が課税される。 |
遺言によって親族、第三者の個人、団体に財産を無条件で与える制度。被相続人の意思のみで成立する。
与える財産の割合を指定する包括遺贈、与える財産を指定する特定遺贈の2種類がある。 ペットの飼育を引き継ぐなどの条件をつけたい場合は、負担付き遺贈も利用できる。 |
効力の発生が遺言を残した人が亡くなってからになる。
遺贈を受けた人にも相続税がかかる。 遺贈を受ける人がその権利を放棄する可能性もある。 相続人でない人が遺贈で財産を取得すると、相続税額が2割加算される。 |
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贈与 | 資産を与える者が健在なうちに、遺言なしに無条件で財産を与える分資産を渡す上で利用しやすい制度。双方の同意のもと、原則として撤回できない契約をする。
一方で書面によらない贈与はいつでも取り消せる。 もし贈与する者の死亡を条件に財産を与えたい場合は、双方の合意で成立する死因贈与が利用できる。 |
相続税対策の一環で、生前に財産を譲る形で利用できる。
全く血の繋がりのない人に財産を渡すことも可能。 贈与税の税率が相続税より低くなる場合がある。(ただし死因贈与の場合は相続税が課税される) |
生前贈与を行なった場合、贈与税などの各種税金が課税されるケースが多く、タイミング次第では必要異常に税金が増えたり、贈与自体無効になったりする。 | |
成年後見 | 認知症などで判断能力が低下した人を守るため、そのご本人に代わって財産を管理したり、法律行為や契約代行をしたり、身の回りの世話をする制度。
既に判断能力が低下した後に後見人を家庭裁判所が選ぶ法定後見制度と、ご本人が元気なうちにご自身で選ぶ任意後見制度の2種類がある。 |
認知症になってしまったご本人の保護有線で、判断能力が低下しても、一定のルールで財産管理を託せる。
ご本人の身上監護まで保証される。 任意後見の場合、どのような行為のサポートを受けるかまで具体的に決められる。
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財産が全て家庭裁判所の監督下におかれる。
ご本人の財産の開示や収支報告も必要になる。 実際に認知症になるまで始められない。 財産を守ることができても、資産運用や相続税対策ができない。 月額3〜6万円程度の報酬がかかる。
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自筆証書遺言 | 遺言を残すご本人が直接作成する遺言。形式や内容にかかわらず、自らの死後のために行う意思表示。
遺言で「自分の次の代の人」までの相続のことを決められる(3代先まで決められるのは家族信託)。 自筆かつ日付や押印入りで書かないと無効になる。 |
紙、ペン、印鑑があれば誰でも無料で書ける。
遺言書があれば相続人以外の人や団体にも財産を分けられる。 自分の財産を条件付きで遺したい場合に有効。 |
書き方によっては無効になりうる。
一人で書けばミスが生じやすく、書き換えられるリスクもある。 遺言能力の有無が争いになりうる。 遺族に遺言を見つけてもらいにくいか、見つかったとしても手続きが複雑になる。 |
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公正証書遺言 | 公証役場の公証人が作成する遺言。専門家のサポートを受けて遺言書を作成し、公証役場で保管してもらえる。
公正証書遺言の形で作成したことを家族に伝えれば、公証役場で検索するだけで遺言書の内容を確認できる。 |
客観的な立場の人の立会いによって遺言の有効性が担保される。
厳格な遺言の作成方法に沿った書き方ができる。 遺言が発見されなかったり、無効になったり、偽造されるリスクを避けられる。 |
作成に公証役場手数料や専門家報酬がかかる。
どちらの形式でも自分がなくなった後誰に財産を相続してもらうかまでしか決められない。(誰にその次の財産を託すかまでは家族信託でしか決められない) |