皆様こんにちは!代表の石部です。
今回は茨城県土浦市にある、不登校や引きこもりなどの悩みを抱える青少年支援と、犬が幸せに暮らすための機会作りを両立させているNPO法人キドックス様の取材レポートをお届けします。
キドックス様は土浦市でキドックスファームという施設と、つくば市でキドックスカフェという保護犬と触れ合えるカフェを運営しており、2011年の設立以来人・犬それぞれの教育分野で豊富な実績を重ねておられます。
主な事業は、人間福祉の観点では命の授業やキャリア教育などを行っているほか、若者自立支援や職業実習の場である「いぬのいえ」で、日々の犬との関わりの中で就労までの人間的成長を支えるトレーニングに取り組まれています。
動物福祉の観点では、命の大切さを伝える授業や飼い主講座のほか、「いぬのいえ」での保護犬トレーニング、カフェなどを拠点にした里親とのマッチングなどに取り組まれています。
私自身精神的に何度も犬に救われた原体験があり、犬との触れ合いから人間が学ぶことの多さも実感しています。そうした経験から、人間福祉と動物福祉の両方で成果を上げられた事例を知りたいと思い、土浦市郊外のファームにて取材させていただきました。
▼キドックスファーム外観。ドッグランや水道など、DIYで設備の計画から工事までされており、その取り組み自体がトレーニングの一つになっています。
▼ファームを名乗られているだけに、畑仕事もされています。こちらのベリーは収穫してからカフェメニューに出されます。
▼ワンちゃん達の様子。それぞれの健康状態や体重、トレーニング情報などはこまめに記録・共有されています。
若者の自立支援プログラムはいくつかのフェーズ(段階)に別れており、まずは生活リズムや心身を整えるべく、スタッフが個々に合ったサポートをしながら始めます。そのあとは社会人マナーを身につけたり、インターンに参加したり、社会人デビュー後は職場定着のためのサポートをしたりと、一定の場数を踏みながら進めていきます。
若者たちは「ドッグシェルター部」「木工部」などの5つの各部門に分かれて活動を行っており、各部ごとに、木工を覚えたり、建築の基礎知識を学んだりして、ファームの施設もDIYの手作りで整備されています。学びがすぐ実践になり、現場で手を動かすのはやりがいがありそうですね!
▼キドックスシェルターのリフォーム作業の様子
トレーニング前にまずは朝一にスタッフの方が犬のお世話をして、10時からトレーニング開始。その後3回の休憩を挟んで15:20までのスケジュールで進められます。
その日にやるべきこと、犬のお世話の基礎知識、ルールなどは必ず文章化され、わかりやすい場所に掲示されています。
▼隣のつくば市にあるキドックスカフェは、保護犬と里親の出会いの場だけでなく、自立支援プログラムに参加している若者たちが一般就労に向けて接客や調理などの実践経験を積む場でもあります。
社会問題の解決に求められる、予防法(社会問題が発生する原因を事前に防ぐ取り組み)と対症療法(すでに起きている問題への対処)の両立のためには、ただ犬を与えて可愛がるだけでは成果が出ません。そこで、若者のキャリア支援の仕組みを取り入れ、団体として意図的に両者の“二兎を追う”戦略によって、多くの専門家を交えた持続的な事業として若者支援と保護犬支援に取り組まれている姿に感銘を受けました。
後編では代表理事の上山琴美さんへのインタビューをお送りしますので、合わせてご覧くださいませ。