キドックス様視察報告(後編)

皆様こんにちは!代表の石部です。

前回に引き続き、茨城県のNPO法人キドックス様の取材報告をお送りします。

 

現地の写真を交えての活動紹介に続いて、キドックス創業者の上山琴美代表にインタビューさせていただきました。

-キドックスさんにはどんな方が来られていますか。来られた方にはどのように動物愛護の話をされていますか?

キドックスに参加している引きこもりや不登校の状態にある若者たちの中には、何かきっかけがある方もいれば明確なきっかけが無いという方もいます。ただ、中には病気や障害のグレーゾーンの方もいますし、過去に何かしら人間不信になったという経験がある方が多いと感じます。しかし「今のままではダメだ」と思って来所される方は多いです。

傾向としては、動物が好きで来た、保護犬のために何かしたい、自分たちも力になりたいという思いを持つ方が約3割。犬が可愛い、癒されるから参加したいという方が5割ぐらい。残り2割の方は、近くに住んでいるから、スタッフの雰囲気がいいから参加してみようと思った、というような方です。

動物愛護の思いやりの精神は誰かから押し付けられるものではなく、自分の中におのずと芽生え育つものだと思っています。そのため、彼らには動物愛護の気持ちは押し付けず、冷静に犬に関する事実や知識を伝えています。そこから気づいて、学んでもらうスタンスをとっています。ただし犬の世話について基本的なことは通いながら教えています。

 

-キドックスさんに通われた若者の中で、特に大きな成長や学びを得た方のエピソードを教えてください。

職場の人間関係悪化に伴って体調も悪化し、自宅でずっと寝込んでいた人がいました。その後キドックスに通う中で、体調が良くなった頃に就職したいと言われました。
その方はもともと他者に対して反論や口答えをあまりせず、言われたことを全て受け入れてしまう一方で、ストレスを無意識のうちに溜め込む性格でした。そこで、人からの働きかけがないと成長しないと想定される保護犬を担当していただきました。その結果、犬のトレーニングを通じて自分の意思を伝える基礎力を身につけ、3〜4ヶ月トレーニングすると自分の意見を伝える習慣がつきました。就職にも一歩を踏み出せ、課題と向き合って成長し、正社員として就職することができました。今も会社で元気に働いていますね。

 

-スタッフの方々が、どのような形で犬に救われたかエピソードを教えてください。

私は毎日助けられています(笑)。犬がいない人生は考えられません。子どもの頃からずっと動物が好きでしたが、高校時代に愛犬を亡くし「もっとできることがあったんじゃないか」と後悔しました。それ以来犬のためにできることがないか考え、犬を救う側の人間になりたいと思いました。その頃にテレビでアメリカのプリズン・ドッグプログラムのことを見て、仲のよかった友人が道を踏み外してしまったことに問題意識を持っていたこともあり、高校時代には日本でもこのような活動をやってみたいと思いました。キドックスを立ち上げたのちに、当時テレビで見た施設を訪問して学んだことは、今でも活動の軸となっています。

 

-「犬の殺処分問題」への取り組みとして、予防法に当たるもので今後実施したいことはありますか?

現在命の授業、セミナー、講演のご依頼をたくさん頂いていますが、講師を担当できる人材不足が課題です。今後の教育や啓発強化に向けて、適切に教育活動を実施できる人材を育成・派遣したいです。

また現状では、一般の方からのペットの引き取り依頼はお断りしており、将来的にはそういった困っている方への相談支援ができる取り組みも進めたいです。

 

-動物愛護や命の教育に当たって、犬を飼っていない大人向けにされている取り組みはありますか?

ボランティア研修や、お子様から大人の方向け、行政の方向け等の様々な講演をしています。ご依頼内容によっては人の福祉の話メインとなることもありますが、そんな時も動物福祉についての話は必ず入れています。

 

-保護犬の里親を見つけるに当たって、特に重視されている条件は何ですか?

ホームページにもこちらの内容で書いていますが、終生飼育、ワクチンなど基本的なことを守っていただくことが必須です。高齢者だから、小さいお子様がいるから、などの条件だけでお断りするこということはありません。

 

-活動資金調達や支援を受けるに当たって工夫されていることがあれば教えてください。

団体の収入の7割が行政からの給付費ですが、カフェの売上、物販、寄付収入もあります。また、施設の改修や、エアコンなど10万円以上の備品を買うときは助成金を申請するようにしています。最近ではアマゾンの支援プログラムにも参加しており、そこから多くの支援を頂けたのがありがたいです。

 

-寄付やボランティアなど様々な選択肢の中で、外部の方々にこんなサポートを受けられたら特に嬉しいと思うことがあれば教えてください

意欲ある人に不定期でボランティアやインターンに来て頂くことはありますが、関わるハードルが高いことは自覚しています(苦笑)。しかしライトな貢献としては、カフェに遊びに来ていただくことが一番ありがたいですね。他にはキドックスの活動を知ってもらい、SNSなどでシェアしてくれたら嬉しいです。

 

上山代表、お忙しい中貴重なお話をありがとうございました!

 

幼い頃からの動物への愛情と、動物にも困っている人にも力になりたいという想いを行動にし続け、多くの方々を巻き込みながら非常にレベルの高い取り組みをされている姿が印象的でした。NPOは一つ一つの微力な貢献の積み重ねで成り立っている面はあり、「こういうことなら貢献できるかも」と思われることがあれば、お気軽にお声がけ頂ければと思います。

 

「キドックスをもっと知りたい!」と思われた方には、こちらの書籍もオススメです!本の売り上げの一部が活動への寄付となる、“ライトな貢献”も可能です。

▼書籍販売ページ

http://kidogs.thebase.in/items/4239275?from=widget

 

我々わんむすびはまだまだ立ち上げしたての若い団体ですが、こうした先輩たちの取り組みにも学びつつ、今後も精進していきたいです!