皆様こんにちは!インターンの宮崎です。
前回に続いて、京都動物愛護センターさんの取材記事です。今回は、センターの職員である獣医師の奥野さんにお話を伺いました。
宮崎(以下宮):さまざまな自治体に動物愛護センターのようなものはありますが、京都動物愛護センターの特色は何ですか?
奥野獣医師(以下奥):譲渡ボランティアをしていないという点です。一人ひとり向き合って譲渡するので、その後も相談しやすくなります。それによってペットを手放すような状況ができることを防ぎます。
また、「京都方式」の導入が挙げられます。これは、犬の保護・収容から譲渡に至る大部分、すなわち、選別、行動修正および譲渡について、外部の専門家の高度なノウハウや広範なネットワークを大胆に活用し、その監修のもとに、職員とボランティアスタッフが協働で現場作業を行う方式です。
これにより、これまで行政では困難であった問題行動のある犬の譲渡や新たな譲渡ネットワークの開拓などが可能となり、殺処分の大幅な減少に向けた取り組みが大きく進展することが期待できます。
宮:今力を入れていることはなんですか?
奥:今というよりはずっと力を入れていることなのですが、ペットの適正飼養の普及啓発です。また、外部への情報発信にも力を入れていて、新しい情報を十分に取り入れることを重視しています。
宮:持ち込まれる理由は何ですか?
奥:体感として、飼い主の体調不良が一番多いです。
その他は、攻撃性が出てきた、多頭飼育の崩壊、計画外の繁殖などが多く感じます。
宮:持ち込む人はどれくらいの年齢の方が多いですか?
奥:近所の方からの通報という事例も多く、持ち込む人=放棄した飼い主とは一概には言えないのですが、印象としては年配の方が多いと思います。
宮:譲渡の条件にはどのようなものがありますか?
奥:65歳以上の方、一人暮らしの方には万が一のことがあった場合誰が引き取るかという確認をしています。それによって里親探しの間口を広げることが出来ます。
宮:府と市の連携のメリットは?
奥:情報管理がしやすく、混乱しづらいことや、譲渡の範囲が広がって京都市外の方にもお渡しできる、市外からの譲渡もでき、譲渡後のケアがしやすいことです。
宮:今、センターが特に困っていることはなんですか?
奥:猫は子猫が持ち込まれることが多いので譲渡が決まりやすいのですが、犬はずっと飼われていた高齢な犬や病気の犬、野犬が多く、譲渡希望の方は若い犬や小型犬を望まれるので、そこでミスマッチが起きているという点です。
そこで家庭になじみやすい犬にするトレーニングを行い、譲渡率向上を目指しています。
宮:現行の動物愛護法への不満はありますか?
奥:やはり全国統一して法を定めているために、自治体の事情にはまらない部分があります。
動物愛護法には、引き取りに関してはっきりした規定がない、所有者不明かどうかの判断等、見解が統一されず指針があいまいなところが多いですね。
しかしそれによって自治体の自由な裁量が許されているという、助かっている部分もあります。
また、もちろんですが私たちには警察ほどの権限がないので、不当な動物の扱いをしている業者に対し検挙できず指導を繰り返すしかないという現状もあります。
宮:これからのビジョンや、最終的に目指すところはどのようなものですか?
奥:もちろん殺処分ゼロです。
でも、ただ殺処分がゼロであればよいわけではありません。
適正飼養がもっと世の中に広まり、そもそも持ち込まれるペットがいなくなることが一番です。
センターを卒業していった犬たちの幸せな様子
お忙しい中対応していただいた職員の奥野さん、スタッフの皆様、ご協力ありがとうございました。
今回実際に現場を見学させていただいたことで、多くの気づきがありました。
動物愛護の現場はもっと暗くて悲しい雰囲気を想像していたのですが、京都動物愛護センターは明るくて清潔で、また職員の方のお話からも、前向きな印象を受けました。
京都動物愛護センターはペットが欲しいと考えている方や、ペットを飼っている方、動物愛護に関心のある方にとって有用な情報を発信していますので、ぜひ施設を訪れたり、イベントに参加したりしてみてはいかがでしょうか?