犬の避妊・去勢手術が重要な理由

皆様こんにちは!代表の石部です。
以前のブログで「飼い猫の避妊去勢手術の徹底が重要な理由」について書きましたが、今回は飼い犬についても徹底が重要な理由について説明いたします。

犬を飼われている方であれば、かかりつけ医から早期の避妊・去勢手術を勧められることがあるかと思います。「なぜ必要かわからない」「病気でもないのにメスを入れるのはかわいそう」「室内で一頭しか飼ってないから必要ない」と言う方もいらっしゃると思いますが、手術によって病気の予防、望まない妊娠を防ぐなどのメリットがあることから、持病がなくてリスクが低いと判断されれば、手術をご検討頂ければ幸いです。

避妊手術のメリット

避妊手術は望まない妊娠、悪性ならガンになる乳腺腫瘍、卵巣癌、子宮に膿がたまる子宮蓄膿症といった命に関わる病気、感染症の予防に効果的です。もし高齢でそうした病気を発症したら、麻酔のリスクや入院日数の長さ、体への負担などが懸念されます。また発情に伴う出血や、気分が不安定になったり怒りっぽくなったり噛みやすくなるなどの問題行動、他の雄犬を刺激してのトラブルも防げます。

若いうちに避妊手術を実施すれば手術時間が短く、出血が少ない、手術しやすい、薬品が少ない、回復が早い、病気の発生率を大幅に下げられるなどのメリットがあります。特に乳腺腫瘍は初めての発情前に手術すれば99.5%の予防が期待できますが、2回発情後なら74.0%、2歳半以降ならほとんど効果が期待できません。それもあって生後6ヶ月〜2歳までの手術が推奨されます。

去勢手術のメリット

雄犬の場合は、望まない妊娠の原因を防ぐ他、前立腺肥大、会陰ヘルニア、精巣腫瘍といった病気を予防できます。性的な興奮や衝動、大きな鳴き声、マーキング、スプレー、発情期の喧嘩などの問題行動も抑えられます。雌犬と同様、若いうちの手術の実施が望まれます。

デメリット

手術を受けさせると、受けなかった子に比べて2倍太りやすくなります。実家の愛犬もやはり体重が増えました。そのため摂取カロリーを30%減らしたり、不妊・去勢後の犬のためのフードに切り替えたり、散歩を増やしたりと工夫が必要になります。

全身麻酔リスクについては、適切な麻酔処置で軽減できます。もし雌犬で尿失禁が起きても治療は可能です。

小型犬、特に肥満になった場合は尿路結石に気をつけなければいけません。膀胱や尿道など尿路に結石ができると膀胱に傷がついて出血したり、尿路が詰まっておしっこが出なくなったりすると命に関わります。獣医さんの指導のもと、結石ができるリスクに配慮した食事に切り替えるといいでしょう。

子供を作れなくなることについては、繁殖犬でない限りは特に考える必要はありません。ただし老犬になってからでは体への負担が大きくなりますので、やはり若いうちの手術が推奨されます。

手術の流れ

・術前検査:血液検査やレントゲン検査によって、麻酔や手術が可能かどうか、怪我や病気などでリスクがないか確認します。手術に問題がなければ、飼い主さんに手術方法やリスクを説明し、同意を得られれば手術開始です。

・手術:雄は精巣摘出、雌は卵巣と子宮摘出を行います。通常は30分程度で手術が終わります。

・術後管理:抗生剤や鎮痛薬を投与して、健康状態をチェックします。もし健康を維持できたとしても、少なくとも半年に一度は定期的に健康診断を受けさせてあげてください。

・退院後:傷口を舐めたりひっかいたりしないよう、エリザベスカラーをつけて抜歯まで2週間程度過ごします。カラーをつけたら動きにくくなってしまいますので、最近ではfull of vigorさんで作られているようなエリザベスウェアを使うこともあります。

多頭飼育崩壊予防に向けて

多頭飼育崩壊といえば猫の問題と捉えられがちですが、犬でも室内飼い・ブリーダー問わず発生は多いです。子猫と違って犬の場合は譲渡のハードルが高くなりがちです。

雌犬は生後6〜9ヶ月で子犬を産めるようになり、年2回発情期があり、1回の出産で3〜10匹の子犬を産みます。無秩序な繁殖は地域への問題、法的な問題などの元になります。犬の寿命が伸びるにつれて、悪性腫瘍など様々な病気のリスクも高まっていますので、高齢になってから手術をされた飼い主さんは、後悔の念を持たれる傾向が強いです。そのため、飼い始めた地点での手術を推奨します。少しでも気になることがありましたら、是非かかりつけ医などにご相談ください。