皆様こんにちは!代表の石部です。
コロナの影響でテレワークが続き、現場の訪問もなかなか進められなくなってしまいました。そんな中でも、今後は拠点の京都市に近い地域から少しずつ対面での活動を再開したいと思います。
人と猫の共生に必要なこと
今回は滋賀県犬上郡多賀町にある「多賀にゃん」様と、避妊・去勢手術専門の獣医さんのタッグでの活動をご紹介いたします。私は滋賀県在住で、県内の動物愛護の取り組みを調べていたときに「多賀町で新たな地域猫に関する取り組みが始まる」との情報をお聞きして、早速現地調査に向かいました。
多賀町は滋賀県彦根市の隣町で、多賀大社や高速道路のサービスエリアで有名な街です。今回お伺いしました多賀にゃん様は地域猫TNR活動に取り組まれているお店で、多賀大社のすぐ近くにあります。地域で増えすぎてしまった猫の課題を解決し、住民と共生する上で必要な様々な取り組みをされています。
地域猫とは
特定の飼い主がいないものの、地域住民の認知と合意で共同管理されている猫を地域猫と言います。増えすぎてしまった野良猫の数を抑制し、住民やボランティアの共同管理によって飼い主のいない猫をなくすことを目指しています。
全ての猫を保護する場所もなく、お世話できるわけではありません。1匹で生きていける猫は元の場所に戻し、地域で可愛がっています。
TNR活動とは
飼い主のいない猫を捕獲(Trap)、避妊・去勢手術(Neuter)、元の場所に戻す(return)ことの組み合わせで繁殖を防止し、地域の猫としてお世話する活動のことです。耳の一部が桜のような形にカットされた「さくらねこ」が目印です。猫にとって一番負担が少なく、ピアスや首輪のように取れる心配がありません。飼い主のいない猫に関する苦情を減らし、殺処分現象につなげるのが狙いです。多くの猫ボランティアさんたちのご協力の元、地域でフードをあげて、1代限りの命を暖かく見守ってお世話を進めています。
猫はメス1匹で年間に多くて15匹もの子猫を出産します。産まれてから4〜5ヶ月で生殖能力を持ち、さらに猫の数が増えます。そのため、早い時期からの避妊・去勢が必要で、手術によって発情期の鳴き声を抑えたり、喧嘩やマーキングを減らしたりする効果もあります。滋賀県では年間800匹近くの猫が殺処分されており、そのほとんどが子猫です。
猫に関する苦情は
1、ゴミを荒らされる
2、庭や花壇など、土のあるところで用を足して臭くなる
3、夜泣きや喧嘩の騒音
が主な内容です。地域猫活動での餌やりでお腹をすかさない、地域の清掃をする、避妊・去勢手術で発情期がなくなってうるさくなくなることで、結果的に人と猫の共生が大きく前進します。
多賀にゃんさんの店内にお邪魔すると多くの猫ちゃんグッズが販売されており、売上の一部は保護猫活動に寄付されます。
猫ちゃんたちは子猫、成猫両方お世話しており、むしろ成長してからの猫の里親になりたいという方もおられるようです。60歳以上、独身者は後見人をつけることを条件に譲渡されており、これまで多くの方々の募金、ボランティア、イベント開催などのご協力を受けられました。
本業を持ちながらのボランティアに支えられている活動ですので、医療費や猫のお世話に必要なものは寄付で賄われます。Amazon欲しいものリストを作って物品の寄付も受付されています。特にトイレ用品などの消耗品は重宝されます。
今回から新たに始まるのは、ワゴン車1台を丸ごと避妊・去勢手術室に改造した「移動動物病院」の取り組みです。近年そうした手術に特化した「スペイクリニック」という施設が増えつつあり、今まで保護猫活動に取り組まれてきた方々の大きな支えとなっています。
次回はそのスペイクリニックについて紹介いたします。
お楽しみに!