家族信託の具体例

皆様こんにちは!
今回は家族信託をペットのために使うのはどのような時か、具体的な事例を説明いたします。

「信託」は委託者(財産を持つ人)が受託者(委託者が信頼する人や組織)にご自身の財産(現金、有価証券、不動産など)を託し、だれかのために定められた目的に従って財産を管理または処分する制度です。その中でも受託者が営利目的で行わないものが家族信託で、民事信託とも言います。もちろん委託者の財産を、ご家族やご親族を受託者にして託すことも可能です。

受託者にはペットをきちんと飼育するための義務が課せられますが、それがきちんと遂行されているか監督するのが信託監督人です。信託監督人には、善管注意義務、忠実義務、分別管理義務の3つの義務が課せられ、任意で委託者での選任が可能ですが、司法書士など専門家に任せる方が安心です。
家族信託制度をペットのために使われた場合、具体的にどのような制度を作るか、事例を見てみましょう。

・急に飼い主様が入院された場合:契約開始条件を「飼い主の入院もしくは施設等への入所」と決めておけば効力が出て、飼育費も支払われます。

・飼い主様が認知症や障がいなどで判断能力が低下された場合:契約開始条件を「飼い主に認知症や障碍等により飼養が困難になった場合」と決めておけば効力が出て、飼育費も支払われます。飼い主様が元気なうちに信託を行えば、受託者による継続的な飼育が可能になります。

・飼い主様が急に亡くなられた場合:新しい飼い主様もしくは飼育先を事前に決めることで、人手も経済面もペットの生涯が保証されます。相続分の財産とペット飼育費を分けてあるため、相続問題に巻き込まれません(飼育費が他の相続人の遺留分を侵害しないため)。

・費用について:信託財産は相続財産と別の扱いになりますので、相続問題が発生しても確実に財産を残せます。ただし飼育費に余裕を持たせて、新しい飼い主様への謝礼や入院費なども考慮する必要があります。
もしまとまった金額を一括で用意できない場合は、信託財産を月々積み立てることや、家族信託として家族・親族にペットを託して費用を抑えることも可能です。

ペットの代わりに飼育費を託す相手として、信頼できる方がおられましたらその方本人に託しても構いません。ただし個人に託した場合、その方も何らかの事情で飼育できなくなるリスクは生じます。それを避けるために非営利の法人を設立することも可能ですが、法人の設立や運営には一定の費用がかかりますので、それぞれのコストメリットを比較しながら一番良い方法を模索すると良いでしょう。